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To be my Grace Last (mimi's world・美海さん)


※文章に以下の描写が含まれます。苦手な方はご注意ください。

 ・妊娠(カイセツ後)
 ・流血表現(撮影シーン)
 ・微桃(撮影シーン)







________  コン・コン・・・



「 はい、どうぞ。 」


京子の楽屋をノックすると、そこには蒼碧色の瞳の彼女が居る。

そっとドアを開け音を立て無い様に閉めながら、そっと近づいた。



「 どう? 眠りそう? 」


「 うん、今ね・・・寝るところ。 」


「 いいよ、こっち・・・」


彼女に両手を出して、腕の中に抱き寄せた。

腕の中で、ふわぁぁと目を擦りながら、アクビをして・・・
そのまま瞼を閉じながら体重が胸に寄り添う様に乗ってきて、その頭を優しく撫でていた。

彼女の寝ながら垂らすヨダレが服に附かない様に、そこにあるタオルに手を伸ばし
自分の服と彼女の顔の間にタオルを掛ける時、あまりに可愛くて愛しくて、淡紅色の頬にキスをした。



「 いいよ、京子も着替えて。 」




うんじゃぁ、そうする・・・



今日の彼女のドレスは、俺のお見立て。

・・・だって、それはもう __________



今・・・

自分の腕の中に眠る、可愛い我が子が生まれて

アメリカ国籍と日本国籍の両方を申請する際、キョーコも・・・

最上から、ヒズリに名前が変わっていた。



自分にとって、とても大事な・・・

心の中にいつも居てくれる優しい存在。


子供の頃から何も変わる事の無い、思い出すと優しい気持ちに成る

あの夏の日の河原で過ごした綺麗な思い出・・・

今も、同じ様に・・・


彼女と今もこれまでも、そして・・・これからも・・・

この優しい思い出で、心の中を埋め尽くして行くのだろうと、心から思える。



________ コン・コン。


「 キョーコ・・・何か手伝おうか? 」


楽屋のドアを叩いてドアの向こうから聞こえた声は、琴南さん。

自分の胸に抱くといつも・・・
大きな胸と手と腕の安心感からか直ぐに寝てくれる子を、胸に付けて背中を摩りながらドアを開けた。


「 あっ、あれ? 敦賀さん? 」


「 琴南さん、おはよう。 」


小声で琴南さんに声を掛けて しーっとするも、自分の抱いている赤ちゃんを見れば直ぐに判ってくれる。

あ~、すいません。と小声になって・・・子供は寝ている時が天使ですね。と微笑んでくれる琴南さんはキョーコが言っていた通り。

兄弟が多く、お兄さんやお姉さんの子供まで・・・なんだかんだ言っても子供慣れしている。


“ 寝ているところを邪魔しないのは、起きたらめんどくさいから。 ”


そんな毒舌を吐いたりもするけれど、実際 彼女が子供に構ってあげるのは、家族みんなが大好きなんだと思える。
兄弟の居ない俺とキョーコにとって、羨ましいと思う・・・から・・・

自分の愛する子には、姉弟を作ってあげたいと思う。


・・・でも、まぁ・・・とりあえず・・・


できちゃった・・いや、授かり婚と云う・・・俺達二人の運命は・・・
こんな運命を授かったものだと、運命に任せるのがいいと思うだけで

その時を又、自然に待っていればいいんじゃないかって _________




「 モー子さぁん。 」


今、着替えてた。声は聞こえていたけどぉ。とカーテンで仕切られた場所から、静かに出てきたキョーコの運命は・・・



「 ね~、続き。楽しみだね~! 」


うふふっ。そうだね~、久しぶりだもんね~。アンタとまた演技するの。と、言葉を返す琴南さんも、俺も貴島も上杉君も・・・

また映画の続編が決まったのは、撮影がクランクアップした直後。



それは、監督曰く・・・


“ この話。 永遠に出来る。 ”


・・・と、言っていた事で、もうすでに同じチーム&キャストで決まっていた。


そう・・・

“ 死んでいる人の復活ならば、終わりが死んでしまうから、
・・・また違う時代に復活できる。 ”


あっはっは~。今度は4330年!地球が滅亡してもさ~、違う惑星の海とか使ってね~~。ピラミッドのクフ王が4000年前で~、シーザーとクレオパトラが2000年前でしょ~。2000年のは撮ったから、今度はその2000年周期の後の、AD4000年だよ~~!3はさ~、3333年にしようかな~とかって。戻って? SUN に掛けて?
太陽みたく?

復活、復活~!

・・・と笑いながら、Tragic MarkerでもBJが復活し続ける、未来に復活が大好きな監督。

“ でもね敦賀君。・・・今度は京子さんが妊娠しない様に気をつけてね。 ”

とまぁ、付け足して言われてしまったのと、京子としてまた活躍できる・・・
いや、復活好きの監督による・・・京子の復活を彼女は、とても楽しみにしているから。


ぐっすりと寝つきのよい我が子を胸に抱いて、彼女達二人を見ていると、夢の溢れる新人時代。そのサポートも、ぜひ、先輩として してあげたいと思っている。



________ コン・コン


ドアのノックが聞こえると、そっとドアを開ける。

しーっ。ごめん。と声を掛けて・・・

その顔を見ると其処には・・・俺の顔を見て・・・


「 おっ? 久しぶり。 」


にっこり・・・

“ 翠の瞳で ” ・・・微笑んでくれる、貴島が居る。


あ~、見せて~赤ちゃん~!と子供好きの貴島が覗くけれど、ぐっすり寝ているので
目を瞑ったままのこの子の瞳の色は、見えない。




________ クランクアップから数ヶ月。

今日は映画公開直前の、映画プレビューの挨拶の会場にいた。



“ 続編があるので、現実の君たちがここに存在していて欲しくない。”

 ので・・・

“ 髪の色と髪型と、瞳の色だけ、挨拶の時には役の設定で、宜しくね。”

・・・と監督に言われたキャスト。


近衛監督・・・

名前は出すけど、今度は全員のビジュアルをウヤムヤにする作戦だった。
・・・又してやられたり。


琴南さんと鏡の前で話しながら鏡に向って、カラーコンタクトを入れている京子。
ストレートの長い髪に黄金はついていないけれど、あの髪が輝いて光を放っていた色・・・

スモーキーなブロンドの髪を着けると、・・・思い出す。

目の前にいるコイツが変えた俺の京子。
Dark Moon の、どうにかしてやりたかった、貴島にも、んで・・・キョーコにも。
そんな事を思い出し・・・


「 京子ちゃ~ん、よっ!俺の理想! 」 

そんな掛け声をかけている貴島を見て、今なら余裕で微笑んで見ていられる。


この、翠色の瞳の素顔のままで・・・

敦賀蓮の名前のまま。それに何も気にしない、今日は貴島も同じ瞳。
琴南さんも陽の色の瞳に黒髪で、京子も・・・

胸に抱いている我が子と同じ、蒼碧の瞳とブロンドの髪。


それに俺も、自分の髪色に戻していた。


黄金の月桂樹の冠の光が創り出してくれた、光・・・

先にもう見た 出来上がった映画の中には、自分の素顔と同じままの自分が其処に居て

・・・敦賀蓮の名前のまま、久遠ヒズリの姿に成って上映される。


だから今日は、冠の似合わないスーツだから、髪の色を影像と同じにして下さいと言われ

素直に・・・


 “ じゃぁ、染めてきます。 ”


そう返答し、元に戻してきた。

皆が初めて見る俺に、何も言わないけれど・・・
琴南さんが今 楽屋を訪れた時にあれっ?と疑問符だったのは、初めてこの姿で会ったから。

貴島も全く同じ。おっ・・・は、あれ?だったのだろうが、直ぐに俺だと分かっているのは、同時撮影が多かった俺達にとって、画像の中の自分達を撮影中はずっと一緒に確認していたから。



「 蓮、京子ちゃん。そろそろ・・・ 」


ドアの開いた向こうで社さんが呼んで、あ、みんな居たの?じゃぁ貴島君のマネージャーさんに、居たよって言いに行ってくる。そう走り出した社さんとすれ違いざまに、上杉君もやってきた。

皆で廊下を歩いていると、子供を抱いたままの俺に、赤ちゃんどうするの?と聞く上杉君。
ほっぺをツンツン、すべすべ~。と触っている貴島に、ダメ。寝てるから。とブランケットを巻き直し、反対側にも抱き直し・・・名前は~?と聞く貴島には・・・




そして・・・



会場の前にくるとスタッフさんに行く先を促される、俺達主要キャスト。


_____ どうぞ~、それぞれの名前の椅子に座って。


会場には並べられた椅子の背に、それぞれ名前が入っている。

皆それぞれ撮影時に使う、ディレクターズ・チェア。


「 あっ! あれぇ・・・!? 」


隣で驚く貴島を見て、微笑んだ。


「 欲しいって言ってたよね。同じ様な雰囲気のやつ。 」


そうだよ。アールにそれぞれの雰囲気を伝えてね、頼んで作ってもらった。
だから、これからも使ってね。プレゼント。 そう付け足すのは・・・

皆にずっと、これからも・・・

ディレクターズ・チェアを持てる様な主役級の役が、

京子にも、琴南奏江にも、上杉飛鷹にも、

貴島秀人にも、敦賀蓮にも


ずっと来て欲しいとの、俺からの願いを込めて・・・



そして、もちろん監督にも。メタボなお尻がはみ出ないサイズ・・・。

それに、まだまだご自分の想像を創造し続けて欲しいとも、永遠に続けられる彼の創る世界の中に、自分達を出演させて欲しいとも・・・

未来を想像する事が大好きな監督の、彼が残すものは

いつかのその未来の時がやってきた時

その時までの歴史の一部として残り伝えられていて欲しいと、

新しいこれからの歴史を、ずっとずっとずっと作り続けて欲しいとの、願いを込めて・・・



『 皆がずっとこの場所に居座り続けられる事が出来るほどの

この世界でのご活躍を、心から祈っています。 _____ 敦賀蓮より 』




それぞれの椅子の上に置かれた俺からのメッセージカード。

読んでスーツのポケットに入れた貴島が、敦賀く~ん。さんきゅ~!と横で言って差し出された手に握手した。抱き寄せられて握手して無い方の手で、背中をバンバン叩かれる。

なので、俺も・・・叩いてやった。


 「 おぉ~!ちょ~ピッタリ! 」


椅子に座った貴島が驚くのも無理は無い。サイズはそれぞれ・・・自分の対比サイズ。


「 それは、私が目測しましたよ。 」


ニコニコしている横の国宝人形師・最上。ならぬ、人形師・ヒズリに相談したら直ぐに測ってくれていた。

( CG技術プロ&PC並み・・・ )

そう思ったのは、椅子が出来てから・・・。
椅子が届いて直ぐの事。キョーコが家で椅子を広げたら、3mぐらい離れてじーっと見ていた。どうしたのかと思ったら、よし。と言って畳んだ事。

きっと彼女の頭の中では、CGさんが扱う・・・

バーチャル透明人間が居たのかと思える。

神殿の中を透明人間が歩いて膝丈までの薔薇の花びらを散らしていたあの影像。
自分のアンドロイドが歩いていたアレの様に、そこに試しに頭の中で座らせていたのかと思っていた。なので・・・

座った全員がピッタリ嵌って、全員が驚いていた。





____________ この椅子に座る前・・・


「 ね、飛鷹くんさ・・・」

ゴショゴショっと京子が耳打ちした後・・・蓮。と呼んで両手を差し出した。
その両手に、じゃぁ宜しくね。と赤ちゃんを渡して手ぶらになった俺・・・


「 座ったら、お膝の上に寝かしておけばいいよ。 」


そう言って一緒に会場入りしていた。






____________  映画公開前の発表が始まって・・・ 




_____ お待たせいたしました。それでは、まずは監督からの挨拶です。


会場にその声と共に静かになると、監督が挨拶を始め映画の説明を始めた。


_____ ・・・この作品は、現実の中に戻ってきて欲しいと、

亡骸を高い技術で保存してきた歴史の中に、人が信じ続ける心を受け継いだ国の物語です。

遠い未来に戻ってきて欲しいとの厚い信頼を築き上げた国は・・・

その人類にとって不要な物だと思われている物を、何千年という時が石を宝石に変えて
その価値を高くする自然の様に、その自然豊かな大地に囲まれた富に溢れる土地での、

人類がいかに宝となるか。
人類の起こす見えないもの、人の力がいかに宝となるか。

世界最古の建造物ピラミッドにも、その時代不要でも、4000年の時が経ち
今現在は、National Treasure つまり、世界の宝と世界共通語の英語では呼ばれる世界遺産、財産ととして認定され、国に世界中から観光で訪れる経済を産み、今も富をそのまま作り続けています。そして、4000年も国に、自分が宝と成って富を齎し続ける位の、その時代には帰ってきて欲しいと慕われるほど国王の統治を讃えるミイラなども、世界の宝となって、保存されている、今・・・

僕が作ったこの物語に出てくる歴史の中の主要人物は、全て・・・


魂の戻る場所のない


亡骸を残されずに、闇に葬られた人達です。


それにもかかわらず、歴史の中に名を残す彼ら・・・

亡骸を残すという伝統を持つ国民を愛するが故の心と
同じ様に戦いにより自分の国民を守ると云う 愛する心が

二人の見詰めた先が国への愛であったのに

その愛を見詰める瞳がお互いの瞳に恋をした時から始まっていた王朝時代の最後。
自分の誇る国を愛しすぎた心が、同じ様に一人に向けられた時。

亡骸を残す伝統に終止符を打つ、国民の裏切られたという思いは過ちで、

二人は無実であったと・・・

2000年の時が経ち彼らを探し始めた考古学研究者たちにより、この世代に紐解かれ始めても判らないもの。

古の言い伝えを自分の国を愛するが故に守り漂っているとしたら・・・
それが今回の花開く綻びの切欠となったその想像。
彼らのもしも戻ってくる事があるならば・・・そう思い描いてこの物語を書きました。

彼らが闇の中に、そのまま心を残している。真実の心と真実の心が繋がっていると・・・その想像の物語です。


それでは、そのキャストの紹介を・・・_____



_____ ジュリアス・シーザー役 プロダクションLME所属 敦賀蓮さん。


呼ばれると立ち上がりお辞儀をして、そのまま立っている。
記者だらけのこの会場で、たくさんのカメラに向って にこっと微笑むと、見慣れない姿の俺達だけど、ほ~っと云う人も居れば、いやぁ~ん、ブロンド~!と喜んでくれる女性記者も居る。

その彼女達に手を振って、ウインクすると・・・ひゅるり~と倒れてくれて・・・

どうもありがとう。と心で思う。


そんな光景にも・・・


_____ クレオパトラ7世役 プロダクションLME所属 京子さん。


すっと立ち上がって相変わらず綺麗なお辞儀をする、自分の奥さん。
うふふっ。とご丁寧にキューティハニー・スマイルまでご披露してくれて・・・
・・・さんきゅ~・・・


何がしかムッとする独占欲の強い自分には、

“ お仕事、お仕事!パパがんばってっ! ” ・・・っと、

女性からの人気の衰えを一応気にする彼女であった為、色気を出して出しまくれ!と言われているので、彼女は何も気にしていない。むしろ・・・

ムッフッフ・・・と俺の横で、倒れた女性記者を見て ほくそ笑む。


( ちょっと怖い・・・。)

でもキョーコが企んだ微笑みを向けるのには訳があるとは、自分の将来を心配してくれる・・・正に、俺の奥さん的発想。


“ 敦賀蓮が、久遠ヒズリに成った時。 ”

このビジュアルが受け入れてもらえるか、その未来へのちょっとした確認だった。




_____ 続きまして、ブルー・・

そうやって貴島秀人も琴南奏江も呼ばれていった。

_____ シーザーとクレオパトラの子供・シーザリオン役の・・・


アナウンスがそう入り、上杉飛鷹君が立ち上がろうとした時


ぐすっ、ぐずっ・・・うぅ・・わぁぁ~~


泣き出してしまった。上杉君のお膝に乗せられていた我が子。
シーザリオンとして、子役のうちだろな~。と思わせたまま、会場入りしていた自分達。


( とうとう来たか、この時、いやあの時にとっては未来の今が・・・。)

今がチャンスかもと思って監督に目配せをすると、監督は微笑んで頷いてくれた。

横に立っている京子が、飛鷹くん・・・と、小声で声を掛けながら、泣いている子を抱っこすると、よしよしと愛やしながら その横の俺に微笑んだ。


_____ シーザリオン役の上杉飛鷹くんです。

もう一度きちんと紹介を受けて、立ち上がりお辞儀をする飛鷹くん。・・・この光景に
誰もがまだ何とも思っていないと思えた。


「 よし、それでは、人気が落ちないといいけど・・・」


京子の耳元で囁いて、その蒼碧の瞳に、翠の瞳でウインクした。

自分の子の瞳の色を聞かれても困るし、誘拐でもされたら大変なので・・・
顔はもちろんブランケットで隠し、自分の胸に顔を向け抱き上げた。

じゃぁ、キョーコも。と二人で一歩前に出ると、監督の方から・・・



_____ 皆さん。この子はシーザリオンの子役をしてくれた子です・・・
映画の中に映っているけれど、その姿を隠したまま影像に収めています。


その言葉に、自分達の子は・・・
生まれる前から、お腹の中で大きくなる過程をきちんと映像の中に入れられた、
命が生まれた瞬間から始めて芸歴1年以上の生後まだ数ヶ月の子役かもな。と思う。

この世界の誰よりも早い、デビュー。

京子のたった1年後輩にあたる、自分達の子はこれからの未来にも俳優として・・・
この子が自分で選べる様な歳に成るまで、自分がクーに言った幼少期を思い出して

その時には瞳の色がそのままならば、自分が久遠ヒズリに成る時だと、これも・・・

自分の運命だと思っている。


この子の成長した姿はきっと、アイツ・・・まだ何も知らない。
俺の永遠のライバルなのか、・・・な?

いや・・・


次の主題歌に、ゼヒ!って、ビュンと手を挙げ立候補してきた・・・ 不破尚。


アイツのPV Prisoner の中に出てきた、京子が演じた天使の様に

ブロンドで蒼い瞳の、人形の様な女神の様な、それでいて・・・
・・・キョーコ似の黒い羽が生えている様な・・・。


まだ見えない未来の先を想像すると楽しいと思える事は、監督の果てない想像の様に
自分達にとっても、未来を想像する事を楽しいと監督から教わった様で・・・
幸せに成るという自分の未来を想像して、それに生きていけばいいと思える程だった。


_____ じゃぁ、どうぞ敦賀君、シーザリオン役の子の紹介を。


監督にそう振られ・・・

グズグズ胸の中で寝そうで寝ない子の頭を撫でて、小さい背中を優しくポンポンと叩きながら、

向けられたマイクに・・・京子と二人、とびきりの笑顔で・・・・



「 ご紹介いたします。

  この子は、クレオパトラ7世とジュリアス・シーザーの

深く永遠の愛に生まれた

  国と国の境無く繋げてくれた・・・子。

  名前は控えさせていただきます。ご了承下さい。 」


この言葉に京子と二人微笑み合うと、京子は、 Good Job 久遠。国と国の・・・ね。 と、
意味を分かってくれている。こんな小声も聞こえないほど、なんで名前言わないの?と
少しざわついた会場。そこに・・・

・・・ぎゃ~っと泣き出してしまった。

よしよし、大丈夫。と揺らしながらポンポンしていた。
敦賀君、がんばれ~と、貴島の声が後ろから聞こえる。
キョーコはい。と琴南さんもタオルを渡してくれる中、もう一度グズグズに戻ると、

無数のカメラに絶対に映らない様に抱きしめた。



「 ご報告、いたします。

  この子は、敦賀蓮と京子。二人の実子であり・・・

この子がお腹に居る間から、親子家族3人でこの撮影に携わってきました。


  以上、LME所属、京子の出産のご報告と共に、ここに・・・

  プロダクションLME所属。 敦賀蓮、京子。

二人が入籍、結婚した事をご報告申し上げます。 」



_____ それでは、映像と物語の中に・・・ 

実際に心と心が繋がり、本当に愛し合っている二人がしてくれた演技を

映画の中に感じて下さると願って・・・



監督の言葉を遮る様な会場を飛び交う、ぎゃぁ~!お~い、スクープ、スクープ!
敦賀さん、敦賀さん!京子さん。一言、ひとこと~!男の子ですか?女の子ですか?と・・・
ざわめいた会場内を、思いっきり泣き出してしまった我が子を抱きかかえ・・・
貴島さ~ん、琴南さ~ん、知ってらしたんですよね?と、とばっちりを受けたキャストたちと共に、笑顔で手だけ振りながら全員無言で退場した。



後ろで聞こえる・・・会場内のざわめきは・・・


この後、この映画をきっと “ 話題作 No.1 ” にしてくれると確信を得ながら。


監督の企みに、一枚噛まされたかもしれない__________





この後別会場で、この発表が放送された直後に、二人の入籍、及び出産の会見を、
LME社長と共に、カーニバルの如く・・・祭りの如く・・・
それに、エジプトブームにもう一度入った社長が派手に勝手に盛り上げて放送された。

その後、もちろん・・・なんだろうな。

記者会見の後、セバスチャンがすっと現れて、お子様はこちらにと預かってくれるのに、何で?と思っていたら・・・
華々しく、いや、ド派手に勝手に披露パーティに突入され、この後仕事が入っていなかったのは、この為だったのかと認識させられた。

そのパーティでは、ビンゴもあって・・・

事務所で主任達に、ボツです、社長。と社長が保留されていた豪華エジプト旅行。

・・・当たったのは、京子だった。



「 おっ、最上・・いんや? えっと、敦賀さん・・?」


にっと笑った社長が続けるのは、クレオパトラの故郷に行ってきなさい。
ついでに、ローマも行ってきたらどうだ?と、俺達二人に休暇をくれた事。


なんでって・・・


それは、映画の興行収益で、2人分+もう一人おまけ でガッポガッポ儲かる未来を想像した、勘の良さは絶対に自信のある、勘だけで生きてきたと自分で言っちゃう社長からの


単なる、ボーナス+おすそ分け。


(・・・なんだろうな。 )






「 まっ、帰りはよ~・・・アメリカ経由だからな。

・・・ごめんな。遠回りでよ。 」





その旅行は、まだこの映画公開後の未来の先に・・・・


今はその想像だけでも、楽しい ________________




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To be my Grace Finale ― PTOLEMY CONSOLE Previewに続く