Operetta 9 (Tempo2.0・sunny)
朝食が終わる。
クランクインから早数日、撮影現場は慌しく一日は瞬く間に過ぎていく。
異国から来た女優の評判は大変よろしく、彼女の傍には常に見目麗しく才能もある俳優が陣取っている。
「そうだ。セーヌ川沿いを散歩しようか?」
――しかし、食べづらい……
ホテルに帰ったキョーコはフロントでルームナンバーを告げる。
帰って来たといっても場所はホテルなので、出迎えてくれる人のにこやかな態度はあくまでお客様に対してのものだ。
キョーコは育ちのせいもあり、このお客様を迎えるという事をよく知っている。
それを基準にしても満足のいくものだった。