rain 前編 (ROSE IN THE SKY・EMIRIさん)
身体中に、胸の奥の奥にまで沁み渡るほどに。
絶え間なく水音を感じていた、そんな一日だった。
身体中に、胸の奥の奥にまで沁み渡るほどに。
絶え間なく水音を感じていた、そんな一日だった。
重厚なアールデコ調の扉が開けられ、部屋へ案内される。
―ああ、ここへ来るのは久しぶりだ。
あの日の記憶が鮮明に蘇る。
暗めの店内。
カウンターに在るのは、植物をモチーフにしたアール・ヌーヴォー様式の照明。
曲線が柔らかで艶やかな印象のそれは、この場の雰囲気を演出してくれるものの一つ。
そして、ズラリと目の前に並んだ様々な瓶達は、それぞれの個性を主張し人を誘惑する。
何故なら、中に入っているものは人々を酔わせるものなのだから。