Room C (にけの落書き部屋。・にけさん)

そしてホテル側との打ち合わせは至極簡単なものになった。それよりも社長側の披露宴の計画が何処まで練り込まれているかと言うところが肝心だ。
社長の『愛』の為の披露宴は、どこまでも限りなく…際限の無いほどに広がっては、ホテル側にも毎日のように連絡が入るとその時聞いた。
今日は本当に慌しかった。
「ねぇ最上さん。……どうする?」
ニッコリと、それはそれは艶やかに先輩俳優様は仰いました。
「…………っ」
フカフカのベッドの上で、あろうことか私に覆い被さっている敦賀さん。
あまりにも至近距離過ぎて、整った鼻梁や長い睫毛、色っぽい唇に、嫌でも目が奪われる。
そして何より、光彩煌めく宝石のような瞳。
見つめられるだけで、息が苦しくなって、どうしてか頭の奥がアツクてイタイ。
ギシリと、やけに煩く軋むのはベッドのスプリングか、自由を奪われた私の腕か。
それとも、箱の中の忌まわしい何か?
「さぁ、俺から逃げてごらん?」
脳髄に響く低音を耳元で囁かれ、抗えない痺れが躯を駆け巡る。
日常から切り離された空間が現実味を失わせ、あり得ない状況を作り出していた。
※Act.198つづき妄想ネタです